創作秘話(6)

創作秘話⑥

※この創作秘話は『カオス村の人々』および『カオス村シリーズ』の内容に触れています。未読の方は、まず本編をご覧になることをおすすめします。

五作目となる『シャウトーこの世界の神話』では、「ピコ」という女性を主人公に据えています。彼女はアイドルグループREMUに所属していた経験を持ち、のちに自身の信念を軸にした音楽グループ「シャウト」を結成します。

なぜアイドルという題材を取り入れたのかというと、物語を通して自分の考えや思いを広く伝えるために、できるだけ多くの人に届きやすい表現手段を模索していたからです。私は作家としての経験があるわけではなく、小説という形式を選んだのも、そのときの自分にとって伝えやすい方法だったというだけです。むしろ、このような創作秘話のような文章形式の方が、私にとっては自然な表現手段かもしれません。

私の作品は、物語の形をとりながらも、現代のさまざまなテーマと重ね合わせられるよう設計されています。たとえば「カオス村」は、実際に存在するような自給自足の共同体や、テクノロジーを活用した生活スタイルから着想を得ています。また、ピコが所属する「シャウト」も、音楽や表現を通じて何かを伝える存在として、実際に現実化しうる可能性を持っています。音楽や物語には、人の心を動かす力があると私は感じており、その力を信じて創作を続けてきました。

世界にはさまざまな思想や信仰がありますが、その背景には「心が救われた」「感情が動かされた」といった体験があることも多いのではないでしょうか。理屈ではなく、心が動いたことによって人が何かを信じる――そんな人間らしいあり方を、物語や音楽という形で表現してみたかったのです。

『シャウトーこの世界の神話』の制作は数日で完了しました。はじめに、物語の流れに合わせて6つの歌詞をつくり、その後に小説部分を構成しました。この歌詞たちは、ピコという登場人物の人生から自然に生まれてきたものであり、小説と音楽が一体となるような創作を目指しました。文学的な技巧よりも、あえて平易な言葉を選び、小学生でも理解できるくらいの表現で、強く感情を揺さぶるような言葉を意識しています。

この創作に自信があるかと問われれば、正直まったくありません。2025年5月に初めて小説を書き始め、約2ヶ月半で五作をまとめ上げたというだけで、書き方を学んだわけでも、小説を大量に読んできたわけでもありません。ただ、自分なりに「未来が少しでも良くなるように」という思いで書き続けてきました。

ピコというキャラクターには、私自身の信念を反映させています。人生の中で「これは死ぬまで続ける」と決めたものがいくつかあり、それを彼女の生き方に重ねました。シャウトは商業的な成功を目的とせず、たった一人でも届く人がいるならば歌い続けるという信念をもったグループとして描いています。その真摯な姿勢に、きっと何かを感じ取ってもらえるのではないかと願いながら書きました。

ピコはREMUとして一度は成功を収めるものの、自分の伝えたい音楽とのズレを感じ、そこから離れる決断をします。どんなジャンルであっても、広く届けるためには表現が穏やかになりがちで、本来伝えたかったものとの間にギャップが生まれることもあります。私は自由な創作だからこそ、時にはストレートで生々しい言葉を選びました。たとえば「レクイエム」という楽曲には、そのような想いが色濃く込められています。

こうして、カオス村シリーズの一作一作、シーンやセリフ、歌詞にいたるまで、私自身の思いや信念、実体験が滲んだ作品群ができあがりました。すべてが拙いかもしれませんが、確かに今の私の心を映し出したものであると感じています。

タイトルとURLをコピーしました