創作秘話(4)

創作秘話④

※この創作秘話は『カオス村の人々』および『カオス村シリーズ』の内容に触れています。未読の方は、まず本編をご覧いただくことをおすすめします。

三作目『カルマ』の執筆を終えたあと、私はすぐに四作目『シャウト』の構想に入り、数週間で書き上げました。この作品は、『カオス村の人々』の前日譚にあたりますが、物語としての起伏以上に、「心の声」を描くことに重きを置いた作品でした。

『シャウト』を描いた理由は、『カオス村の人々』では語りきれなかった登場人物たちの内面――言葉にならない感情や衝動を表現することにありました。生きていく中で、理由のない不安や息苦しさを抱えることがあります。そうした感情を登場人物の叫びとして言語化することで、「なぜ苦しいのか」を物語の中で見つけていくことを一つの目的にしました。

作品のタイトルに「シャウト(叫び)」とつけた以上、表現もストレートでありたいと考えました。編集のフィルターを通さず、尖った言葉や生々しい感情をそのまま綴っています。誰にでも届く作品ではないかもしれませんが、もしどこかの誰かに、ひとすじでも光が届けば、それで十分だと感じています。

たとえば、『カルマ』の最初の舞台で戦争を描いたのも、戦争により大きな痛みを抱えた誰かの救いになればと思ったからです。

『シャウト』では、静と動のコントラストも意識しました。登場人物たちの激しい叫びの合間に、竹原と神崎のやりとりを差し込み、物語に緩急をつけています。竹原のように静かに内に秘めた想いもまた、一つの叫びだと感じています。

この作品では、ストーリーよりも感情が先にありました。登場人物たちのセリフを先に100個ほど書き出し、それを物語の軸に据えて構成しています。竹原の哲学的な台詞や、リナが苦しみの構造に気づく場面など、人がどうすれば心穏やかに生きられるのかという点にも触れています。

普段の作品づくりでは、原文をスマホのメモ帳で書いてからAIで調整を加えることもありますが、『シャウト』では最初から最後までAIを使っていません。感情の温度を優先したかったからです。整えすぎると、どうしても叫びが弱くなってしまう気がして、原文のままを選びました。

神崎にとって竹原は、特別な存在として描きました。その後の神崎のあり方にも深く影響していくように設定しています。竹原との思い出――傘を一緒に差した日、花火を見た誕生日の夜など、神崎は当初、自分に感情があるとは気づいていませんが、ほんのかすかな「喜び」のようなものが芽生えている、という背景を込めています。誕生日の花火も、実は竹原がこっそり用意したものでした。それを語らずに見送る竹原の姿もまた、彼の魅力です。

竹原は、シリーズ全体の中でも非常に重要な人物です。彼の人となりは『初めて青空を美しいと思えた日』でも描いています。

また、このシリーズでは「弔い」や「転生」も重要なモチーフにしています。『初めて青空を美しいと思えた日』のラストや、『シャウト』『カルマ』『シャウトーこの世界の神話』にも、墓参りの場面が登場します。2200年の世界でも、神崎は墓参りを続けているという設定です。未来においても、大切な人を思う気持ちは変わらずに受け継がれている。そんな感覚を表現できればと思いました。

なぜ「弔い」や「転生」というテーマを描いたのか。それは、人が大切な誰かを失ったときに、どこかで救いを見出せるように――という願いが根底にあるからです。別れの痛みや、死というものをどう受け止めるかによって、生きる感覚もまた変わってくるのではないでしょうか。

『カルマ』では、その想いを特に色濃く込めました。2200年の世界で、レイが母親を非常に大切にしている場面がありますが、実は彼と母親は、再び巡り合った存在である――という裏設定を設けています。

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